プロジェクトストーリー Vol.1 「ボンド 裁ほう上手」ができるまで プロジェクトストーリー Vol.1 「ボンド 裁ほう上手」ができるまで

今や手芸の世界のみならず、若者からお年寄りにまで幅広く支持されている
「ボンド 裁ほう上手」。「つける」から「つくる」というまったく新しい発想の接着剤として、
さらなるポテンシャルを秘める「ボンド 裁ほう上手」の開発ストーリーを
開発担当者の皆様に語ってもらいました。

プロジェクトメンバー プロジェクトメンバー

  • 島田 誠一 島田 誠一

    東京FU・DIY部

    島田 誠一〈1991年入社〉

    商品の中身ができた頃にプロジェクトに参加。製品導入の指揮を執り、販売促進などに辣腕を振るった大ヒットを支える要の人物である。しかし、テレビ出演が苦手で体調を崩したというエピソードを持つリーダー。

  • 伊豫 和裕 伊豫 和裕

    浦和研究所研究開発第一部 第二グループ

    伊豫 和裕〈1998年入社〉

    当初からプロジェクトに参加していた初代取りまとめ役。技術面の責任者として、接着剤内容物の開発を指示するとともに、自身は容器の選定を担当した。

  • 坂本 美和子 坂本 美和子

    研究開発第二部 第三グループ

    坂本 美和子〈1987年入社〉

    当初からの主要メンバー。接着剤内容物の開発に携わるだけでなく、デザインや販売促進などでも重要な役割を果たす。研究所勤務のスタッフ職であり、研究員をサポートする傍ら、これまでも多くの商品を開発しては結果を出してきた。

  • 松尾 美里 松尾 美里

    大阪FU・DIY部

    松尾 美里〈2012年入社〉

    入社後にプロジェクトに参加。テレビ出演も笑顔でこなすムードメーカー。一方で、根気のいるかばん作りのレシピを地道に開発したり、さまざまな使い方を提案するなど販売促進に大きく貢献した。

  • 田中 優 田中 優

    東京汎用住宅部 金物グループ

    田中 優〈2006年入社〉

    初期からのメンバーであり、市場調査や分析などに冷静な判断が光る。自ら店頭に立って実演販売をし、また全国の展示会に参加して生の声を集めるなど、大ヒットを底辺で支えてきた行動派。

「ボンド 裁ほう上手」とは

「針・糸がなくてもかばんが作れる!」をキャッチフレーズに、2012年に登場した画期的な手芸用接着剤。手軽なことから、あっという間に年間100万本を超える大ヒット商品に。定番の45gサイズだけではなく、コンビニ用の17gやヘビーユーザーのための120gなど、売り場や使い勝手を考えたサイズで展開しています。

EPISODE 1 EPISODE 1 「つける」から「つくる」へ。
子育て中のお母さんの声から
「ボンド 裁ほう上手」の開発が始まりました。

2007年でしたか、研究部門と営業部門が集まって「手芸ワーキンググループ(以下、手芸ワーキング)」というものが始まりました。当時、コニシには手芸用製品がなかったため、「仕様もパッケージもコンセプトも一から考え直していろんな製品を作ろう」ということで、市場調査をして製品を開発していきました。「ボンド 裁ほう上手」はその中から生まれてきた商品です。

ちょうどコニシでも女性の営業職が増え始めた時期で、それまで女性メインの会議はあまりなかったのですが、手芸に関しては女性がメインになったんです。

手芸屋さんにも足を運んで、どういうものがあればいいのか、本当にざっくばらんに意見を出しあいました。この手芸ワーキングを始めてから、これまで出展していなかった手芸の展示会にもサンプルを出すようになったんです。

狙った業界に応じた委員会を立ち上げて、自由に意見を出しあいながら進めるというのはコニシらしいね。

「かばんを作れる接着剤」という、それまでどこにもなかったコンセプトが出てきたんです。 「かばんを作れる接着剤」という、それまでどこにもなかったコンセプトが出てきたんです。

「ボンド 裁ほう上手」の開発のきっかけは、ある展示会でお客様の方から「ミシンの代わりに使える接着剤はないか」というご要望をいただきました。手芸ワーキングでも市場調査した中で、お母さんたちが入園・入学グッズを作るという、ある一定の需要があることをつかんでいたんです。しかしそういった中、ミシンは家には無いし、手芸はあまり得意ではないといったお母さんが増えていました。

その当時、入園・入学グッズ専門の通販の会社があって、手芸の苦手なお母さんが増えているので接着剤でお弁当や上履き用のかばんをつくるという記事を出しておられました。でも、普通の接着剤ではあまり強度が出ないので、その会社から「コニシさん、何とかならないですか」って。

そこをみんなで深掘りしていきましたね。で、「かばんを作れる接着剤」という、それまでどこにもなかったコンセプトが出てきたんです。まったく新しいチャレンジでした。

これまでも人形のクラフト的な小物を「つける」ような布用の接着剤はあったのですが、かばんを「つくる」というものはなかったんです。接着剤の中身だけでなく、デザインとか容器とかもみんなで考えながら進めていきました。

私は途中から手芸ワーキングに参加することになったのですが、女性からいろんな意見が出ていましたね。ただ私は手芸のことがさっぱり分かりませんので最初は見ているだけでしたが(笑)。

「ボンド 裁ほう上手」は特にパッケージがかわいいです(笑)。通常、接着剤は工業用向けの製品が多いので、何となくガツっとしたデザインが多いのですが、この製品は「これが手芸用なんや」と一目でわかるようになっています。

「ボンド 裁ほう上手」はお客様もコニシの社員も「うわぁ、こんなんできた」というもので、今までとは一つ違うものでしたね。発売と同時に、どんどん売れていきました。

入園入学の本がいっぱい出ていましたので、最初からわりと市場性はあるんじゃないかなと直感していました。そこを掘り起こせたと思います。

EPISODE 2 EPISODE 2 風合いと強度と洗濯をテーマに、
お母さん方の使いやすさをとことん追求しました。

一番の課題って何だったのかな。

かばんを作るための最適な強度の設定でしょうか。コニシは接着剤の総合メーカーなので強度だけならばすぐに出せるんです。でも布に使うものなので、それが硬かったら風合いが損なわれます。風合いと強度のバランスが一番の悩みどころでした。それに布の種類によって接着剤の浸み込み具合も違うので、そのあたりのバランスが難しかったですね。

布自体が柔らかいものですから、硬ければ別物になるし、見た目も変わります。

そこで、いろんな成分を混ぜながら本当にたくさんの試作品を作って、それらの強度と柔らかさを細かく確認しながら、「これでいけるんじゃないかな」ということを探っていきました。

いろんな布の種類に対して確認してましたね。

研究所内で試してきたものを手芸ワーキング内に持ち込んでは「これは硬い」「柔らかい」などメンバー全員で意見を出して詰めていきました。

本当に大切なのはお客様が普通に洗濯するんだということ。 本当に大切なのはお客様が普通に洗濯するんだということ。

もう一つ大事なことが、洗濯。

そうそう。毎日ひたすら洗濯してました(笑)。研究所に洗濯機を買っていただき、結局100日くらい洗濯しては干してを繰り返していました(笑)。

洗濯を何回したとかの耐久性のテストは、業界にないんです。

でも、テストがどうこうではなくて、本当に大切なのはお客様が普通に洗濯するんだということ。だから普通の洗剤でひたすら地道にやり続けて、50回くらい洗濯すると布の方が色あせてきて。接着面は大丈夫なのに、ほつれてきたり(笑)。

研究所に行く度に洗濯していましたもんね(笑)。

正の字書いて、何回も(笑)。それ以外にも重りを入れてずっと吊りっぱなしにして、本当に大丈夫かな、という別の視点からも耐久性のテストもしました。

布の種類によって、どれだけくっつくかも。

布といっても絹とか、ウールとか、合成繊維や混毛等もありますし。いろいろと布屋さんで買ってきては、ひたすら強度を調べました。

お母さんが簡単に作れて、そして洗っても大丈夫という所をしっかり抑えたつもりです。

お母さん方お一人お一人洗い方もそれぞれでしょうし、布がくっつくといえば、どんな布でもくっつくだろうと思われますので。できる限りお母さんの使いやすさと仕上がりが満足いただけるようこだわりました。

EPISODE 3 EPISODE 3 これまでになかった
デザインやキャッチコピーで難航。
熱い議論を尽くしました。

「針と糸がなくてもかばんが作れる」という、パッケージのキャッチコピーにも苦労しましたね。

文言をみんなで考えたというか、もめたというか(笑)。今までのコニシなら、布用とか皮用などの用途か製品名を書きます。ところがこのパッケージには製品名は書いていなくて、容器にしか書いていない。しかも「針と糸がなくてもかばんが作れる」と、これも用途ではあるのですが、いざ出す時になって、〇〇用ですとか、〇〇に使える、じゃないとお客様が分からないのでは、という意見が出たんです。

こちらからの提案のような使い方をパッケージに入れていいものかどうか、という意見です。

そこで市場調査をして、これでいいのかどうかお客様にも聞きましたし、手芸ワーキング内でも議論しました。

議論は熱くした記憶があります。ここはこの商品の肝だったので。 議論は熱くした記憶があります。ここはこの商品の肝だったので。

最終的には、市場を作るというか、需要を掘り起こすという意味で、これにしようと。ちょっとチャレンジングな意味合いの商品コピーになりましたね。

議論は熱くした記憶があります。一カ月か二カ月。ここはこの商品の肝だったので。

「ボンド 裁ほう上手」というネーミングはわりあいすぐに決まりましたね。ただデザインはこだわりました。これまでのコニシらしくない感じです(笑)。

「ボンド 裁ほう上手」の文字を明朝体にしたんです。若いお母さん相手だったら、もっときゃぴきゃぴしたものがいいんじゃないか、など意見があったのですが、当時デザインを担当した営業の女性が、主婦で子どもさんもいらっしゃって、「そうじゃなくて、これなら私でもうまくできるんじゃないか」と思わせるためにわざと少し堅いイメージにしたい、というこだわりがありました。

ピンクもそうなんですね。ショッキングピンクとか、明るいピンクが多いんですが、落ち着いたピンクにしているんですね。きゃぴきゃぴするより、落ち着いたピンクにして明朝体とあわせることで安心感があるので良い、とこだわっていました。たぶん、その担当の女性営業の子どもがちょうど幼稚園に行くという世代で、ご自身の経験もあったんでしょうね。

EPISODE 4 EPISODE 4 ワーキング内での議論の積み重ねが、
コニシに新鮮な風を吹かせました。

お母さんたちの声を聞いた時に「これは売れるんだろうな」と思いました。 お母さんたちの声を聞いた時に「これは売れるんだろうな」と思いました。

実際のところ、手芸ワーキング内でいろいろやっているより、幼稚園などの現場で「ぴったり合ってるわ」というお母さんたちの声を聞いた時に「これは売れるんだろうな」と実感しました。問題は、「ボンド 裁ほう上手」というネーミングで、しかも女性向けのデザイン。このようなものはコニシではあまりなかったので、上層部からなかなか承認してもらえないのではないか、という不安がありました。

しかし、手芸ワーキングで懸念事項を一つ一つ議論し、改善してきたことが経営陣にも伝わって、信頼になっていった感じですね。そういう意味で「ボンド 裁ほう上手」を市場に出す時は、思っていたよりスムーズでした。

やはり主婦目線というのが良かったですよ。実際にお子さんのいる人間が、こういうふうにしたらこう売れる、というしっかりしたプレゼンテーションをしたことが一番伝わりましたね。

EPISODE 5 EPISODE 5 いろんな部署の人が集まって
自由に意見を言えたから、
新しい商品が生まれてきたんだと思います。

発売したらすぐテレビに取り上げられて、「ボンド 裁ほう上手」が販売店さんの店頭からなくなったくらい売れ過ぎました(笑)。欠品しましたね。

僕はすごく緊張するタイプなので、テレビ出演は大変でした。松尾さんは大丈夫なタイプです(笑)。

私が大変だったことはかばんのレシピ作り。まったくゼロベースからですから。

手芸屋さんに行って布を買うと作り方のレシピを貰えたりするのですが、じゃあ「ボンド 裁ほう上手」の場合、誰が作るんだという話になって(笑)。

坂本さんしか(笑)。

え、私?という感じで(笑)。でも、かばん、作ったことないですし、一研究員ですもん(笑)。とにかく、かばん作りの資料を読み漁り、何とか一つレシピを作り上げホームページに載せました。一つできたら「もっと作ったら」となってティッシュカバーなど作りました。

部署関係なくいろんな経験ができて、苦労というよりも楽しかったですね。 部署関係なくいろんな経験ができて、苦労というよりも楽しかったですね。

最初が一番大変でしたね。縫い方の本とか見ながら、頭の中でここに接着剤をつけるとこういうふうにできると想像して。お客様は接着剤でかばんをどう作るのか、最初はわからないですし、とにかく必死でした。

そのレシピを使ってお店に行って実演販売もよくしました。私の場合は、「これを作ってみましょう!」と、店頭に立って相当アピールしましたね。それに、全国各地の手芸の展示会にも講習や販売を兼ねてみんなで行きました。立ちっぱなしで大変でしたが、いろんな声をいただき、今も大事にしています。

私の部署では販売店さんで「ボンド 裁ほう上手」の売り場コンテストもしています。地道ですが、こういう草の根的な活動をずっと続けています。

それと意外にお年寄りの購入者も多いです。お年寄りになると針への糸通しが苦手になる方が多いので、これは便利だと。

老人ホームの職員の方も買っていかれます。おじいちゃんおばあちゃんのレクリエーション用に。針はお年寄りに危ないので、「これはいいわぁ」と。

翌年かな、コンビニエンスストア用に小さいサイズも作りました。売り場スペースに合わせて。

コンセプトも「針と糸がなくても裾上げができる」に変えて。そうすると男性も買うだろうと(笑)。

他にも手芸関係のヘビーユーザー向けに大容量タイプも作りました。

良いと思ったら、そこを目指してすぐに行動できる。コニシらしさが出たところでしょう。

手芸ワーキングのような委員会の中で、私は研究員ですけれど、デザインとか、売り方とか、レシピ作りとか(笑)、部署関係なくいろんな経験ができて、苦労というより楽しかったですね。

チャレンジがたくさんありましたが、社内の雰囲気も連携の感じも、すごくいい感じで進んでいったのかな、と思います。

昔からそうですが、コニシはいろいろやらせてくれますね。ですから若い人が意見を出していった方が時代にあうと思います。そんな新鮮な風が吹き込んで、また新しい商品が生まれてくるんだと思います。

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