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科学と自然環境と社会の共生をめざして

マンション・ビルの メンテナンスを支える

芝浦工業大学 工学部建築工学科教授 本橋 健司 先生

SPECIAL INTERVIEW

国内ストック戸数の1/6が 築30年を超えた建築物

欧米の建物寿命が約100年であるのに対し、日本の建築物のライフサイクルはその1/3であると言われています。これには、建築分野において、壊しては新しいものを作る「スクラップ&ビルド」が主流であった社会的背景があります。“花の建設、涙の保全”と言われたように、新しく作ることに価値を見いだす時代が長く続きました。

それがここにきて、環境や経済面などさまざまな社会的背景から、建物を長く使わなければならないという考え方が顕著になっています。国も「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」を2009年に施行し、建物耐用年数の3倍化をめざし、長寿命化のための適切なメンテナンスを組み込むことが推奨されるようになりました。

また、国内のマンションストックに目を向けると、戸数は600万近くに達し、今後も増え続けると予想されます。その約4割が築20年を超え、特に戦後の高度経済成長期に建設された築30~40年を超える建物が100万戸に近づく状況です。ビルも同様で、高度経済成長期に建設された建物がまだ多く現存しています。

これらの建物は定期的な点検・修繕が必要とされますが、近年ではメンテナンスの不備等による外壁の崩落などの事故も多発しています。2012年の笹子トンネル崩落事故は記憶に新しいと思いますが、築年数の経った構造物が増大する中、社会インフラの安全性の担保は人々の生命にも関わる社会課題となっています。

国土交通省では、2013年を「メンテナンス元年」と位置づけ、建築物を含めての社会資本の老朽化対策を開始。それに関わる維持修繕工事市場への注目が集まっています。

建物を長く、安全・快適に使う、建物の“超寿命化”のメリットは多大

建築物で最優先させなければならないのは安全の確保ですが、建物の安全と長持ちを両立させる『長寿命化』の取り組みは、多くの効果を社会にもたらします。建物寿命を3倍にできれば、単純に計算して使用する建材は1/3となります。建設工事に使うエネルギーや労力、さらにスクラップ段階で出る廃材も減らせ、環境負荷の低減が果たせるわけです。CO2排出量に歯止めがかかれば、太陽光発電や原子力発電等に頼らなくてもすむことにもなります。また、経済的な観点からも、材料や労力・人件費の低減はライフサイクルコストの縮減につながります。

環境負荷を低減しつつ、人の命や暮らしを守る。その土台を支えるという面で、適切な建物のメンテナンスが社会にもたらすメリットは非常に大きいと言えます。

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コニシの取り組み

建物の“長寿命化”を、高機能接着剤と新工法によって実現する

マンション・ビルの経年劣化に対応するには、修繕計画に基づく定期的なメンテナンス(工事)が不可欠です。この維持修繕工事において活躍するのが接着剤であり、建物のひび割れや欠損、外壁の剥落などを改修する技術です。

接着の性能向上と工法の開発

接着剤にまず求められるのは「機能性」です。コニシでは、耐候性、耐久性、施工性、環境や施工時の安全性など、さまざまな課題を克服するための試行錯誤を繰り返し、より良い製品を送り出しています。

さらに、接着剤をはじめとする樹脂製品の特性を活かした「工法(直し方)」を考えなければなりません。例えば、壁全体を特殊なネットで覆い補修することで、剥落を面全体で防止できるようにした工法。それまではタイルの剥落は浮き部分に樹脂を注入して補修していましたが、この工法では樹脂とネットによって強固な剥落防止層を作り出し、耐久性能を飛躍的に向上させています(*ボンド カーボピンネット工法施工例参照)。この工法の開発により、問題視されていた外壁の剥落による事故なども防ぐことができるようになりました。

他にも耐震補強工法をはじめとする多くの維持修繕工法を開発し、培ったノウハウをさまざまな修繕工事現場に反映、マンション・ビルの長寿命化に貢献しています。

工法普及へ、業界全体での取り組み

開発した工法を普及させるには、広く認知され、施工実績を積んでいく必要があります。しかし、マンション・ビルの維持修繕工事市場は、新築市場に比べ工法が標準化されるスピードが遅く、構造物の老朽化が急速に進む昨今の課題となっていると本橋教授は言われます。

「長寿命化は社会からの要請であり、企業として有効な製品や工法の開発に努めることはもちろん必要です。加えて、業界全体として、取り組まなければならないこともあります。点検・評価の精度を上げる施策を考え実行していくこともその一つです。さらに、新技術や工法を普及させるには“標準化”と“実績”が求められますから、公的機関が定める工事標準仕様書※に導入できるメニューを増やす必要があります。そのためにはゼネコンをはじめとする多くの施工事業者に採用していただき接着剤と工法の有効性を証明し、信頼を勝ち取っていく。その努力を積み重ねていくことが重要だと思います。私は工事標準仕様書の作成に関わっていますが、これは、接着剤業界全体が協力して取り組んでいかなければならないことだと考えています」
※建築・修繕の品質の確保・向上・合理化を目的として、工事別に定められた施工標準をまとめた文書

「施工品質」を保持する体制づくり

補修・補強の工法においては、接着剤の性能はもちろんですが、現場の作業者一人ひとりの確かな技術が求められます。「施工品質」が担保できてはじめて、製品や工法を活かすことができるのです。それには、技術指導や情報共有ができる場を設け、材料のことだけでなく、なぜこういう工法・作業手順が必要か。現場で作業を行う方々に理屈を充分理解していただいた上で施工することが非常に重要です。

コニシでは「施工品質」の向上に共に取り組むため、協力工事会社からなる「コニシベステム工業会連合会」を組織。技術講習会の開催や製品情報の発信等を定期的に行い、現場作業者のスキルの向上と施工品質の均一化に努めています。

これら協力工事会社の皆様、業界各社とも力を合わせて、“今あるものを長く大切に使う”ストック型社会の推進に寄与していきたいと考えています。

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